インプラント治療と入れ歯治療
- 2025/06/20
- 治療方針
こんにちは、フレンドタウン深江橋の2階で診療をしておりますヒデ歯科クリニックです。
今回はインプラント治療と入れ歯治療の違いを話していきます。
歯周病、虫歯、歯の破折の順番で歯を失うことがあります。歯がなくなってしまうと、そこを補うために周りの歯が穴を埋めようと寄ってきます。そうすると噛み合わせが強く当たるようになったり、傾いたところに汚れが溜まりやすくなったり、舌当たりが悪くなります。また12本以上失った場合、認知機能が有意に低下することが知られています(厚労省8020推進財団)。奥歯を失うと、学習と記憶形成に大切な海馬が萎縮することが示されています(Okamoto et al, 2010)。
では、なぜこのようなことが起きるのでしょうか?歯は三叉神経による感覚支配を受けています。逆も同じで、歯からの刺激が三叉神経経由で脳へ伝わります。歯は消化器官の入り口です。入り口で危険な食べ物を感知するためのセンサー機能が歯には備わっています。つまり脳へのセンサーとして機能しています。なので、歯を失ってしまうとこの機能がなくなり、脳への刺激ができなくなり、脳の廃用性萎縮が生じるのだと考えられます。また、入り口での危険な食べ物がふるい分けできないので、誤飲や誤嚥、さらには消化不良が生じます。誤嚥性肺炎、大腸炎などのリスク因子になりえます。
では、どうすれば良いか?
歯を失えば入れ歯をすれば良いのか。当院では保険治療で入れ歯をつくってくれる技工所がないことから保険義歯の受け入れをしていませんが、保険義歯ではどうしても緩く噛めないものができていまします。噛めないものには認知機能を維持したり回復する機能はないので、こちらは適切ではないです。
ブリッジ治療が良いのか?ブリッジだと周りの健康な歯を大きく削らないといけないことと噛み合わせの形を大きく変えることから、長くなればなるほど噛めなくなります。このことから当院ではブリッジ治療を前歯1〜2歯欠損のみと限定しています。奥歯の多数歯欠損ブリッジだと噛めないので脳の萎縮は避けられないと思います。
結論は、親知らずの移植とインプラント治療が妥当だと思います。どちらも外科手術の大変さと材料代・技工代から考えると利益はあまり出ないですが、健康を維持できるためには必要な治療なので、当院も力を入れています。インプラント治療は義歯よりも認知機能の低下が少ないという報告(Matsuo et al, 2010)や誤嚥リスクを減らせるという報告(Shinkai et al,2003, Fujimoto et al, 2016)があります。
患者さんは病気を治すために当院に来られているのであり、当院は病気を治し健康を維持する責任があります。治療途中では不便を強いてしまうことがありますが、治療後には満足していただけるよう最大限に努めていきます。

監修記事
院長 板東 秀典(ばんどう ひでのり)
大阪大学歯学部卒業
すもと歯科クリニック・とがわ歯科クリニック 副院長を経て、
2021年7月 ヒデ歯科クリニック 開業
90歳で20本以上健康な歯を残す「9020(キューマル・ニーマル)」をスローガンに掲げ、虫歯治療から予防治療・歯周病・インプラント・お子様の治療など多岐にわたる診療に従事している。