審美歯科
Cosmetic dentistry
歯科治療には大きく、口腔疾患の予防や治療を中心とした健康保持などの面と、歯並びや色、カタチなどの美観を整えていく面があります。審美歯科（しんびしか）はその両面の治療を行い、口元の表情など見た目の美しさを追求する歯科医療分野になります。米国では口元をきれいにすることはマナーとして当たり前のように行われてきましたが、近年日本でもその意識が高まり、若い女性の間で需要が高まっています。
審美歯科では、歯に白い被せ物をするオールセラミッククラウンなどの独特の治療のほか、歯のすき間を無くしたり歯並びを良くしたりする矯正治療、噛み合わせの治療などを行っています。審美歯科の目的は「機能美」であり、”美しさ”と”機能”と”形”を徹底的に追求した学問です。
虫歯治療で歯を削った場合、その穴の大きさによって処置が異なってきます。小さな穴を補う場合は詰め物(インレー)となり、虫歯の進行が進み大きく削る場合は被せ物(クラウン)となります。虫歯の進行度によって歯を削る範囲が異なり、詰め物で対応可能なのか、被せ物になってしまうのか決まってくるのです。
詰め物や被せ物には、保険診療と自由診療があります。目立たなくする物、治療費がお手頃な物、ケアがし易く耐久性が望める物など様々なタイプがあります。金属アレルギーのある方は、メタルフリーでの治療などリスク対策も必要です。それぞれの特徴を知って、先生と相談しながら自分に合った物を選ぶようにしましょう。
メタルインレー
金属の詰め物で、強度は強いですが、銀色の色が目立ちます。
治療には少なくとも3回の通院が必要です。
コンポジットレジン (CR)
見た目が白く、銀歯などに比べ目立ちにくい。治療期間が基本的にワンアポイントメントで済むので魅力的です。経年劣化（強度・変色）が懸念されます。
硬質レジン前装冠
歯の色に近いため目立ちにくいです。保険適用範囲が限られています。変色しやすいデメリットがあります。
CAD/CAM冠
ソフトウェアのCADやCAMを使い、白い被せ物を制作する方法で、保険適用で治療ができる歯と使う素材が限られています（ただ金属アレルギーの診断を受けている方は例外があります）。レジンより耐久性に優れ、金属アレルギーの心配が不要で安心です。
全部金属冠 (FMC)
安価で耐久性に優れる金属の被せ物で、フルメタルクラウンの略称です。銀歯なので目立ち、金属アレルギーを起こす可能性が考えられます。
セラミックインレー / オールセラミッククラウン
自然な色合いで自分の歯に近い印象になります。セラミック製で汚れが付着しにくく、金属不使用なので金属アレルギーの心配がありません。経年劣化の心配もほとんどありません。総じて虫歯リスクや歯周病リスクが下がります。ただ、衝撃や強い力で割れたり欠けたりする懸念があります。
メタルボンドクラウン
自然な色合いで自分の歯に近い印象になります。ただ、透明感はオールセラミッククラウンにやや劣ります。内面に金属を用いることで歯への適合精度を上げているので予後は最も良いです。
さらに金属の上にセラミックを築盛していくことで、理想的な形をつくり、噛み合わせを安定させることが可能です。経年劣化の心配もほとんどありません。総じて虫歯リスクや歯周病リスクが下がります。ただ、セラミック部分が衝撃や強い力で割れたり欠けたりする懸念があります。
ジルコニアクラウン
人工ダイヤモンドとよばれるジルコニアを用いたか被せ物です。強度が金属に次いで硬く、色も審美的です。ただ、メタルボンドに比べて適合精度が劣り、透明度がないため、見た目にこだわる方にはおすすめしません。しかし、費用が抑えられるため、目立たない奥歯では多くの方に受け入れられています。
ダイレクトボンディング
自費専用のコンポジットレジンを用いることで、変色しづらく強度に優れています。治療期間が短いです。