ブログ|城東区深江橋駅の歯科・歯医者|フレンドタウン深江橋内のヒデ歯科クリニック|土日診療

MENU

ブログ

WEB予約

なぜ歯石を取らないといけないの?その1

こんにちは、フレンドタウン深江橋の2階で診療をしておりますヒデ歯科クリニックです。

今回はシリーズものとして、歯石をとる理由をお話していこうと思います。

そもそも歯石とは何か?下の写真をみてください。歯周病模型の人工歯に黒いものがリング状や帯状に付着しているのがわかります。これが(縁下)歯石と呼んでいるものです。触った感じは石のように硬いです。

歯石が付着していない健康な状態と比べると一目瞭然だと思います。下図の左側が健康な状態で、右側が歯周病が進行している状態を表現しております。健康な状態だと骨から約1mm上まで歯根面が見えています(Gargiuloの生物学的幅径)。ところが、歯周病進行モデルでは歯根面が大きく露出し、歯の位置もバラバラになっているのがわかります。実際の口の中を忠実に再現した模型(ニッシンさんの模型はすごい!)なので、現実的にも写真のこのような状態は起こりえます。

では、このように歯周病を進行させて歯と骨の状態を悪くさせる犯人は誰なのでしょうか?

答えは、細菌です。

食事をしてしばらくたった時に、爪楊枝で歯の表面をさっと擦ると、爪楊枝の先に白い食べかすみたいなものが付着してくるかと思います。これはプラークや歯垢と呼ばれるもので、ほとんどが細菌でできています。細菌の塊です。このプラークを放置しておくと、細菌の種類が変化し、最終的には活動性の高く、炎症を引き起こしてしまう悪い細菌が増えていくことが知られています。その中のコリネバクテリウムなどの細菌は2週間くらいのうちに死んで石灰化します。これが堆積して目に見える状態になったのが歯石です。

歯石は歯肉の上にだけではなく、歯肉の中にまで形成されてしまいます。炎症を起こした歯肉は簡単に出血してしまいます。黒い歯石は、この血液成分がしみ込んで酸化したために黒く映っています。見た目にも悪い感じがします。私たちがいわゆる歯周病菌と呼んでいる細菌たちは血液が大好きで、この血液がないと飢えてしまいます。また酸素に弱く、歯肉の中の空気が薄い所にしか住めないのです。つまりは、歯周病菌たちは歯肉の中が一番快適に過ごせるのです。

ただ、私たちの身体も黙って細菌の進行を許しているわけではないのです。歯肉の下には骨があります。骨の中には血液がいっぱいあり、免疫担当細胞はこの血液からやってきます。上手く免疫で排除できているうちは良いのですが、細菌は増殖スピードが激しいです。敵側の数が増えすぎると見方も撤退を余儀なくされます。つまり、歯周病菌が増えてくると、私たちの免疫は骨を自ら吸収させて、敵のいっぱいいる歯と歯肉から距離をとろうとするのです。

これが歯周病で骨がなくなっていく原因です。

下図のような健康でしっかりとした骨の状態を維持するには、どうすればよいか、もうお分かりですね。

細菌を歯肉の下に進行させる前にお掃除をすることです。

では、歯肉の下に汚れが進行した方はどうしたら良いのでしょうか?

それは次回にお話をすることにいたします。

それではまた次回お会いいたしましょう。

院長写真

監修記事 
院長 板東 秀典(ばんどう ひでのり)

大阪大学歯学部卒業
すもと歯科クリニック・とがわ歯科クリニック 副院長を経て、
2021年7月 ヒデ歯科クリニック 開業

90歳で20本以上健康な歯を残す「9020(キューマル・ニーマル)」をスローガンに掲げ、虫歯治療から予防治療・歯周病・インプラント・お子様の治療など多岐にわたる診療に従事している。